博士課程は、学問分野で最高の学位であり、専門分野において高度な研究を行うことを目的としています
そのため、世界各国で博士課程を提供する大学があり、各国において独自の教育システムが存在しています
本記事では、カナダと日本の博士課程の違いを4つの観点から比較してみたいと思います
カナダと日本の博士課程の違い:ライフワークバランス
カナダと日本の博士課程では、大きなライフワークバランスの違いがあります。
そもそも日本では最近でこそノー残業や休日出勤禁止など労働環境を改善する動きがあるものの
やはり規制のない企業や大学での働き方はブラックと言わざるを得ません
カナダの博士課程では、研究以外の時間が非常に大切にされ、週に40時間以上働くことは推奨されません
また、研究の進捗に関わらず、週末や夜間は自由に時間を使うことができます
帰りたいときは帰るし、研究したいときは夜残るもよし、休日来るもよし
完全に自分次第といった感じです
特に朝も何時にいかなければならないなど制約はないです
私はだいたい朝9時には研究室にいくのですが、11時半まで誰も来ないなんてことも結構あります
一方、日本の博士課程では、長時間労働や研究に没頭することが当たり前
特に私の知る限り化学系は週末や夜間も研究室で過ごすことが多いです
そのため、ライフワークバランスを重視する場合は、カナダの博士課程が断然適しています
カナダと日本の博士課程の違い:金銭面
カナダと日本の博士課程の大きな違いの1つに、金銭面があります。
カナダの博士課程においては、TA(Teaching Assistant)やRA(Research Assistant)として大学の教育や研究に協力することで、月額でおおよそ日本の大学院卒業生の初任給に相当する程度の給与が支払われる場合がほとんどです
また、博士課程に入学する前に、奨学金も充実しており応募も可能です
一方、日本の博士課程においては、給与はほとんどなく、多くの学生が学費を支払いながら博士課程を進めることになります
そのため、自己資金や奨学金を活用する。あるいはアルバイトなどをしながら博士課程を進める必要があります
ただし、日本の大学にも、博士課程を通じて学生に対して奨学金を提供する制度が存在するため
その制度を利用することで、学費の負担を軽減することができますが、その奨学金もかなり数が限られるので
奨学金をもらいながら博士課程を進められる学生はほんの一握りとなっています
以上のように、カナダと日本では、博士課程における金銭面の扱いに大きな違いがあります
カナダでは、TAやRAとしての仕事や奨学金制度を活用することで、経済的な負担を軽減することができますが、日本では、学費や生活費を自己負担する必要があります
カナダと日本の博士課程の違い:教授との距離の近さ
カナダと日本の博士課程では、教授との距離の近さにも違いがあります
カナダの博士課程では、教授との距離が比較的近く、指導教員とのディスカッションが頻繁に行われます
日本ではあり得ない話だとは思いますが、カナダでは教授を敬称なしのFirst name呼びするのが普通ですし
ディスカッションのときもあくまでほとんど対等な立場で話すことが多い印象です
テーマ自体もおおよそ自分で設定して、自分の意思で研究を進めることが可能です。
一方、日本の博士課程では、教授との距離が比較的遠く、指導教員との面談はあまり頻繁には行われません
それに日本は教授が怖いイメージであまり頻繁にディスカッションしたいと思う学生がいないという問題もあります
さらに、主に教授が提示する研究テーマに沿った研究を行うことが求められ、自分のアイデアを取り入れる余地はあまりないことが多い印象です
このように、カナダと日本の博士課程では教授との距離の近さに違いがあります
自分に合った教授との関係性を築くことはアカデミックで生きていくために重要であり
どちらの国で博士課程を進めるかを決める上で、教授との関係性を重視することも大切です
カナダと日本の博士課程の違い:研究室の雰囲気
カナダと日本の研究室では、雰囲気に大きな違いがあります
カナダの研究室では、自由でオープンな雰囲気が特徴的です
学生同士の交流が盛んであり、共同研究やアイデアの共有がしやすい環境が整っています
あとはソーシャルイベントが日本に比べて多い印象も受けます
化学科内でハロウィン、クリスマスパーティーがあったり、毎週木曜日に各研究室がコーヒーやお菓子を提供するコーヒータイムがあったり
研究室のメンバーでキャンパス内のバーに飲みに行ったり、ボードゲームをしたりポットラックパーティーをしたり
本当にいろいろなイベントがあります
日本で修士学生をしていたときには飲み会くらいしかなく、それもあまり楽しかった思い出はないです
また、異なる分野の学生が同じ研究室で研究を行うことが多く、新しい視点や発想を得られることも魅力的です
一方、日本の博士課程では、プロジェクトではなく、個人のテーマとして研究を進めていくため、他の学生との交流が少ないことが多いです
また、指導教員の研究テーマに沿った研究を行うことが求められるため、自由度が低くなることがあります。
以上、カナダと日本の博士課程の違いについて、ライフワークバランス、金銭面、教授との距離の近さ、研究室の雰囲気の4つの小テーマに分けて解説しました
自分に合った環境で博士課程を進めるために、比較検討してみることをおすすめします