【実体験】海外博士学生のTA業務について

海外での博士学生としての生活は、研究は勉強もちろんですが

研究における指導者としてTA(Teaching Assistant)も行うこととなります

 

私自身も2022年の9月に入学してから実験系のTAを2つ担当した経験があり

その中で色々と思うことがあったので、

本記事では海外でのTA経験についてご紹介していきたいと思います

TAの振り分け

まず、TAにどのようにアサインされていくのかを紹介します

最初に行っておくと入学してからすぐは、ほとんど選択権はなく

みんなCHEM121と呼ばれる、学部1年生の化学系の実験にアサインされます

 

私の場合はCHEM235と呼ばれる有機化学系の実験にアサインされましたが

これは配属先の研究先が無機化学なのか有機化学なのか分析化学なのか

といった情報に基づいた上でランダムに振り分けられているようです

 

もちろんAIが振り分けているというわけではなく、TAコーディネーターが

博士2年目以降の学生の希望を聞いて、埋まっていない枠に新入生を

埋めていくという形でTAをアサインしています

TAの経験談

先ほども少し書きましたが、私は2年生の有機化学実験のCHEM235と

3年生の有機化学実験であるCHEM3XXというクラスにアサインされました

 

正直、周りの話を聞いていると、CHEM121は非常にやることが多く

大変だったみたいなので、ラッキーだったのかもしれません

TA業務の詳細

ではTAの業務が一体どんなものなのか紹介していきます

①生徒の実験指導

生徒が安全に実験を行えるように指導し、生徒からの質問に答えたり

場合によっては実験のデモを行ったりする場合もあります

クラスによっても異なりますが、基本的には8~15人の生徒を

一度に見なければならず、かなり大変です

 

入学初期の時は英語での実験用語が全く分からなくて、本当に

身振り手振りで指導していたのを覚えています、、

それでも生徒たちも真剣に聞いてくれて、フレンドリーに接してくれるので

非常にTAがやりやすい環境だなと思います

 

ちなみにクラスは週に2回で~3時間ずつ働きます

これが9月~11月、1月から3月までのフルシーズンで業務としてあります

4月から8月まではそもそも基本的に学校が休みなのでTA業務もありません

ここでようやく実験だけに集中できます

 

ただ、サマースクールもあるので、そのTAを募集している場合があり

個人の選択でサマースクールのTAを行うこともできます

アルバイトのような感じですが給料が $35/h(日本円で3500円) なので

効率よく稼げます

②実験ノートの採点


生徒は実験が終わってから1週間以内に実験ノートを提出する必要があり

提出されたノートの内容をTAがチェックに採点します

 

提出はPDFスキャンをしてすべてオンライン上で行われます

実験の目的が明記されているか、危険物情報が書かれているか

化学の反応式やそのメカニズムがあっているか、実験中の観察をしっかり

しているか、など結構細かい採点のチェック表があり、それに従って

マーキングを行っていきます

 

この作業が慣れるまで結構大変で最初は1人の生徒で2時間くらい費やしていました

しかも、字が汚くて何を書いているのか全く分からない生徒もいて

あぁ、学生のときもっと提出物はきれいな字で提出しておくんだったなと自分で少し反省しました

まぁ、読めなかったところは0点でいいと言われていたので0点をつけておしまいといった感じです

③レポートの添削

クラスによって異なりますが、3週に1回レポート提出の授業もあれば

毎回実験が終わってから1週間後までにレポートを提出しなければならない授業もあります

 

こちらも実験ノートと同様に提出はPDFスキャンをしてすべてオンライン上で行われます

 

自分が受け持った生徒のレポートを採点することとなります

これも成績評価基準が用意されており、それに従って採点を行います

が、これも結構大変で学年が上がれば上がるほど、レポートで聞かれる

 

反応メカニズムや計算などが難しくなり、どこで部分点を与えるかなど

完全にTAの裁量になってくるので責任が重い業務だなとは感じています

実験中はとても良くできている生徒でもレポートがめちゃくちゃだったり

逆に実験はあまり上手ではないがレポートは完璧という生徒もいたり

公平な目でみることが求められるので難しいなと感じています

④オーラルレポート

クラスによって有無が変わりますが、いわゆる口頭試問みたいなものです

オンライン(zoom)で行い、自分がクラスで受け持った生徒と1対1で行います

全ての実験にあるわけではなく、指定された実験のみオーラルレポート

があり、オーラルレポートがある場合は通常のレポートはなしになります

1人の枠は15分程度で大体3~4個の質問をします

これも結構大変で、質問を相手のレベルによって変えないといけなかったり

分からなそうな場合はヒントをあげたり、その話をしている間に評価基準

に則って採点を進めなければなりません

 

個人的にはTA業務で最も嫌いな時間でした

 

みんなしゃべるの早いし、たまに全然的外れな回答なのにノンストップでしゃべり続ける生徒もいるし、、

 

あと、その実験の深い部分まで自分自身がしっかり理解していないと

質問が用意できなかったり、ヒントが与えられなかったりと

自分自身の準備も求められるのでかなりストレスがかかる時間でした

 

もうオーラルレポートがある実験のTAはしたくないなと思ってます、、

TA業務のまとめ

以上のように海外のTA業務は結構な幅の業務を任せられます

 

自分の研究プロジェクトがある中で合間を縫ってこういった業務を行うことは非常に大変なことではあるのですが

自分たち自身の知識の向上や指導力につながるだけでなく

責任感やマネジメントスキルを磨くことができるいい機会だと思います

もし海外の大学院でTAを行う際には少しでもこの話が参考になれば幸いです

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